2016/09/27

Yoga Hosersとカナダのステレオタイプ

アメリカはニュージャージーの出身でVFS(Vancouver Film School)に通い、放課後はもっぱらインディ系レンタルビデオショップの老舗Black Dog Videoでお宝を漁っていたというバンクーバーゆかりの映画人ケビン・スミスの新作が発表された。(彼について以前書いた記事はこちら)実の娘のハーレークイン・スミス(本名!)と、ジョニー・デップの娘のリリー=ローズ・デップが演じるカナダの女子高生二人組が、得意のヨガを駆使してナチスと戦うというキテレツなお話。アメリカ各地でプレミアをやっていて、9月一般公開と言われているのでカナダでももうすぐ見られるのかな?

地理的には隣人のカナダとアメリカはどちらも国土が果てしなく広く、基本的には英語を話という点は共通でも、知れば知る程文化が全然違う。どちらも愛国心が強くお互いのステレオタイプをいじるのが大好き。簡単にいえばカナダ人はアメリカ人を馬鹿だと思っていて、アメリカ人はカナダ人を田舎者だと思っている笑。予告編を見る限りYoga Hosersはよくユーチューバーが紹介しているカナダ人あるあるネタの劇場版みたいな作品だ。この動画の最初から順に解説すると、


  • まず冒頭のI'm talking アブート your entire generation. と聞こえるのはaboutのこと。カナダ訛りでアブートと発音する、とよく言うけど聞いたことない。よっぽど田舎の人は言うのかな? (実際にアブート言う人の例 https://www.youtube.com/watch?v=8YTGeIq4pSI この人の英語すごく聞き取りやすい。カナダ人は田舎者なので基本的にゆっくり話す。) サウスパークでネタにされたのをきっかけに一気に広まった説。
  • 「先生、『現実世界』なんてここにはないんですよ」「カナダですから」
  • 「あーら、ルルさんとレモンさん」→バンクーバー発のヨガウェアブランド、lululemonから。日本からは撤退したものの最近また買えるようになったと聞いた。ヨガはカナダ、とくにバンクーバーでは流行を通り越しもはや常識。
  • 「マリファナでハイなのか?」(この台詞を言ってるの誰だかわかるかな?カメオ出演)カナダ人は大麻が大好き、というイメージはバンクーバー出身の大人気コメディアン、セス・ローゲンのせいもあるかな?
  • 「Sorry!」カナダ人はよく謝る。議論ですぐに折れるとかそういうことじゃなくて、日常生活のちょっとしたことにスミマセンスミマセンとよく謝る。こちらでの友達は移民とカナダ人の半々なのでこれは顕著に感じる。フランス人とか言い訳ばっかで絶っ対謝らないもんな。わたしももちろん謝らないほうの移民。カナダ人によく謝られる笑。こないだ観た大人向けアニメ『Sausage Party』(祝・日本公開決定)にもこのネタが出てきたのでこれから観る人は注目。


  • 主人公二人がバイトしているコンビニの名前がEh-2-ZED。A-to-Z(なんでも揃う)のもじり。Eh?エィ?というのは最も典型的なカナダ訛りで、「Right? せやろ?」または「Right. せやな。」みたいなニュアンスの相槌。同意するときなどは「ヤァ、エィ?(ほんまそれ)」。これはからかわれても仕方ないくらいに本当にみーんな言うので、しばらくカナダ人といると自然にうつる。さらにZEDゼッドというのはカナダ人が発音する「Z」のこと。アメリカの標準英語ではズィーと発音する。
  • Sorry about(アブート) that連発。
  • レジカウンターのうしろに置いてあるのはタバコ、ではなくメープルシロップ(これはさすがにギャグだよ)。カナダといえばメープルシロップですが日本で買うのと同じくらい高価なのでわたしは滅多に買わない。カナダ人必須アイテムのベーコンにかけるとあまじょっぱくて美味。冷蔵庫に入れないとすぐ腐る。
  • ナチをやっつける武器はアイスホッケーのスティック。ホッケーを応援するのは国民の義務。
  • ハーレークインのセリフ、I'm not even supposed to be here today! は『Clerks』の決め台詞。
  • タイトルのHoserはカナダ由来のスラングでLoser、Idiotみたいな意味。

他にもカナダでしか使わない独特の単語は山程ある。こういうのも映画の本編に出てきたら面白いな。

WashroomBathoom お手洗い わたしはクセでなんとなく今もバスルームって言ってる。
PopSoda コークやルートビアなどの炭酸飲料。バイト先でSodaくださいとか言われると「お、アメリカのどこから来たんですか?」っと話が盛り上がる。
Tuqueトゥーク。ニット帽のこと。トゥーク以外の言い方わからん。ビーニー?
Homo(genized) milk ホモミルク。これカナダだけなの?!3.25%牛乳のこと。
Housecoat これもカナダだけなの?バスローブのこと。
Double-Double ダボダボ。砂糖2ミルク2のコーヒーのこと。国民的コーヒーチェーンTim Hortons通称Timmyのみならず国内ならどこでも使える呪文。カナダ人コーヒー好きすぎ。
Runners スニーカーのこと。
Loonie, Toonie それぞれ1ドル硬貨、2ドル硬貨のこと。カナダでは札は5ドルから。
Mickey フラスクサイズ(375ml)のハードリカーのこと。本当に寒い地域ではロシア人のごとく携帯するのだろうか。ああバンクーバー人でもそういえばスノボ行くときとかポケットに入れてるわ。


地域や社会的階層によって文化やアクセントは異なるし、移民も多いし、ていうかフランス語圏もあるカナダだけど、全土に通じる「カナダルール」はまあこんなところかな。テレビや映画で見慣れてるつもりでもやっぱアメリカの人と話すと同じ英語でも全然違うなって思う。

2016/09/08

BCPNPで永住権を取るの巻⑤CICアプリケーション後

前回までのお話はこちら→
BCPNPで永住権を取るの巻①ノミネートまで
BCPNPで永住権を取るの巻②Flag Pole
BCPNPで永住権を取る③ノミネート後にレイオフされた 
BCPNPで永住権を取るの巻④Flag Pole失敗とリベンジ



2014年の夏に永住権取得を思い立ってから2年、まだ待ってます。さすがに待ちくたびれた…ぜえぜえ。BCPNPノミネートは早かったものの、ノミネートされてから請求すればいいやと思っていた日本の警察証明を取り寄せるのに2ヶ月くらい時間がかかったことと、その後の移民局への応募段階で申請料を払おうと思ったクレジットカードが止まっていたせいでさらに3ヶ月ロスしたのが非常に痛かった。これがなかったら今頃もう移民完了していたかもしれないのに…。これまでのタイムラインだとCICが書類を受け取ってから丸1年後=わたしの場合2016年9月までにPPRが来るのが普通だったみたいだけど、このところはとくに審査が遅れているとのこと。今はExpress Entryが主流だからこんなに待つ人いないよね。でもわたしが応募した当時は他に選択肢が無かったのです。

各州のPNPにノミネートされた後カナダ移民局に永住権申請する段階を、CICレベルとかFederalレベルとか呼びます。ノミネーションがあれば永住権に至る確率はほぼ100%らしいですが、完璧に全部の書類が揃い安全な人物だと証明されるまではずーっと待たなければいけない。同時にその待ち時間の繋ぎのビザを自力で更新する必要があります。ノミネートされた州から転居できず、転職も不可。ひたすら現状維持で待つのみ。

PNPの申請はどっさり申請書類を出してしまえばあとはイエスかノーの返事を待つだけですが、CICレベルではいくつか段階を踏んで審査が進んでいくことになります。この後なにが起こるのか、いつそれが起こるのかは公式な説明がないので、掲示板などの情報がたより。同じ時期に応募した仲間たちがリアルタイムでどんどん状況をアップデートするので自分は一人じゃない!と思えるよ。AOR, PPR, RPRFなどここで当然のようにみんなが使っている略語の解説はこちら Immigration Acronyms

以下はBCPNP ELSSのinland applicant, paper based application (NOT Express Entry)のわたしのタイムラインです。

CICレベル タイムライン

2015年

4月8日 前年10月の応募から6ヶ月でBCPNP ノミネート
6月 オーナーが廃業したために仕事をクビになる
6月 federalアプリケーションが指定のVO、シドニーに到着
8月末  新しい仕事を見つける。PNPに報告し再審査(1日で完了)
9月初旬 PNPからのサポートレターを持って国境に行くもワーク取得失敗
9月8日 さらに申請料が引き落とせなかったためにアプリケーション郵送返却!
9月11日 国境リベンジ。新しい雇用主のためのクローズドワークパーミット取得、勤務開始
9月16日 再送したアプリケーションがシドニーに到着
12月18日 AORのemail

2016年

6月9日 一部書類再提出のリクエストと、RPRFの請求
永住権を取得するための最終的なFee $550の請求と、ここへきて書類の再提出依頼。IMM 5406 Additional Family Informationの父親の欄が空欄になっているので直せとのこと。家族全員の名前(英語+日本語表記)、誕生日、婚姻ステータス、現住所を書くフォームなのだが、わたしは母子家庭出身で父親がいない。当然誕生日や住所なんて知るはずもないし生きているかどうかもわからない。最初に提出する時にちゃんと問い合わせをして「わからないところは空欄でいいです」と言われ、そうしたのに何事か!と憤ったが、よく考えてみたら戸籍謄本に書いてあるので名前くらいはわかるのであった。日本にはBirth Certificate(出生証明書)が存在しないので戸籍謄本を取り寄せ在バンクーバー日本国総領事館で英語に翻訳してもらったもので代用する(自分で訳しても無効)。世田谷区役所から戸籍謄本を取るのにひどく手こずった。片親家庭は今時珍しくないはずなのに、未だにお役所の人はどこの家にもお父さんとお母さんがいて当然だと思っていてイレギュラーなことに対応できない。28にもなって母子家庭のせいで面倒が起こるとはね。とくにカナダはそういった多様性にとても敏感な国なのでこんなことを聞いてくるなんてがっかり。孤児の人とか、両親が複数人いる人とかどうするんだろう?
訂正した書類はネットからファイルをCase Specific Enquiryにアップロードするだけで再送できるはずなのだが何故かうちのパソコンからやるとエラーになるので郵便で送った。速達で$20もかかったのに、直後例の掲示板を読んでいて盛大に書き間違えていたことに気づく。空欄は全部N/A(=Not Applicable)と書かなきゃいけないんだ!フォームの冒頭に太字で書いてあるんだから読めや!空欄を全部埋めて父親の誕生日や住所のところもN/Aと書き直す。最初問い合わせした時に「空欄のままでいいです」と言われたのは完全に間違いだったね。こういうことは残念ながら非常によくあるので複数回問い合わせして違うオペレーターの意見を参照したほうがいいです。
6月23日 CSEでIMM5406送り直し
図書館からだとスムースに送れた。ネットで支払ったRPRFの領収書も添付。
6月30日 メディカルリクエストのemail
7月11日 健康診断受診
指定の医療機関リストに載っているクリニックで予約を取る。値段はまちまち。ホームページすらない所が多いので節約するなら一軒一軒電話で問い合わせなければならない。しかし!バンクーバーのブロガーさんで一番好きなoishiincanadaさんがまとめてくれています!ありがたやー!※どこも近年は値上げ傾向にあるのでご注意。どうせ数ヶ月先まで予約いっぱいとか言うんだろう?と思ったけど、問い合わせた2軒はどちらも逆に一週間先までしか予約を受けないと言っていた。明日来ます?とかそんなノリ。 わたしが行ったところはDr.Ciszakさんというところで$305もかかった。でも職場に近いので休みを取らないで済むことと、Webサイトがしっかりしてるのと、ほぼ移民の健康診断専門でやっていてeMedical対応なところ、メールの返信も早かったということで信用を買うっという意味で納得しました。
 出勤前、朝イチで診てもらうことができた。パスポートと、CICからのメールに添付されていたバーコードつきの書類を印刷したものを受付で渡す。デジカメで顔写真を撮ってもらう。なんと問診票はなく、口頭で簡単な質問があるのみ。先生はまったく覇気が無く、身長体重、喉や耳の状態、視力、聴診器といったスタンダードな検査を淡々と事務的にこなしていく。ここで引っかかったら移民できないので、だれも心配事なんか相談しないのだろう。10分くらいで診察は終わり同じビルに入っているレントゲン小屋へ。胸部のレントゲンを撮る。その後今度はやはり同じビルのLifeLabに移動して血液と尿検査。検査項目はHIVと梅毒くらいで、酒飲みすぎとかそんなことは全然関係ないのであった。念のためプチ節制して出かけたのが馬鹿みたい。移動や待ち時間でなんだかんだ2時間程度かかって全工程終了。結果に問題があれば連絡するが何もなければそのまま結果をCICに電子送信しておくよとのこと。後日GCkeyにログインするとMedical Passedとあるので大丈夫だったみたい。
8月27日 BOWPをオンラインで申請
前回「さすがにこれだけあれば永住権までカバーできる」と12月までワークビザを出してもらったが、最近の動向を見ていると間に合わない可能性が大なので更新申請。まーた$255かかった。しくしく。今回は少し時間があるのと、オンラインでしか受け付けていないビザなので国境まで出かけないで済んだ。承認されれば郵送で新しいオープンパーミットが届くはずだがどれくらい時間がかかるのかは不明。9月30日追記:Gckeyを通して「2017年9月までのBOWPがapproveされた。実際のビザが郵送されるまでしばし待たれい」との連絡があった。

年末までに永住権が出れば日本に凱旋帰国して、おせちを食べつつ心配してくれた人たちに挨拶回りをしたいと思ってたんだけど…無理かなー。桜の時期には行けるかなあ。最後に訪れてから4年も経つとさすがにホームシックというか、とにかく食べ物が恋しくてもう限界。買いたい物も溜まってるし、リストを作ってはため息の毎日です。あーーーーコンビニ行きたいドンキ行きたいユニクロ行きたい!大好きなお店に飲みに行きたい!イライライライラ!移民局のみなさん、もっとがんばってください…。


今日もわたしは元気です